解夏

解夏  (2003年 東宝 磯村一路監督)

 

 

さだまさし原作です。

 

東京で小学校の教員をする隆之(大沢たかお)は、

ある日悪夢にうなされる。

かわいい教え子に苦しめられる夢。

 

その日から、体調に異変が表れるようになり、病院に行くと、

「ベーチェット病」と診断される。

その病気は、だんだんと視力が低下し、いづれは失明すると言う。

 

教員を辞め、故郷長崎に戻り、視力の続く残された時間で

故郷の景色を目に焼き付けていく。

と言う、主人公の苦悩を描いた作品です。

 

確か、この映画のキャッチコピーは

「あなたが最後に見たいものなんですか?」だった気がする。

 

「死ぬまでにしたい10のこと」と言う映画について書いたけれど、

あちらが、余命なのに対し、

「解夏」は、目が見えている限られた時間。

 

その時間の中で、「目が見えなくなる」と言う恐怖と闘いながら、

目が見えなくなった日からは、

目が見えない状態を一生生きていくと言う

現実が待っている。

 

同じ土俵では測れないけど、これも苦しいよね。

 

映画のタイトルにもなっている、「解夏」は

仏教の言葉で修行を終える日のことだそうだけれど、

 

お坊さんが言う、

「目が見えなくなると言う恐怖は、目が見えなくなったときに消える」

 

主人公のお母さんが、

台所で息子を想って泣くシーンとかすごく切ない。

設定では主人公は20代後半だろうか、

これが幼い子供だったら、お母さんにヤツ当たりでもして、

わめいたりもできたんだろうけど。主人公はしない。

 

舞台の長崎は、石段が多くて、景色がきれいで

その石段で、雨の中主人公が怖くて立ち上がれなくなるシーンは

とても切ない。

 

また、この主人公には陽子と言う恋人がいて、

石田ゆり子が演じています。

(もう、何年も石田ゆり子が好き女優ナンバーワンでしたが

この映画がキッカケだった気がします。)

陽子は、隆之の病気を聞きつけて、研究中の海外から帰国して、

故郷、長崎を訪れます。

 

自分のハンデを考えると、それを陽子に負わせたくなくて、

悩み、何も言わず別れようとする隆之に

陽子が言う

「わたしの幸せを勝手に決めないで」

 

難しいな、と思う。

結婚て、やっぱりすごいことで、

この世にただ一人だけ、全てを捧げられる存在なんだと思う。

別に、養うのが男性とか、家庭のことが女性とか

結婚していれば人生勝ち組とか、寂しい思いをしないとか

そんな体裁とかの問題じゃないと思う。

人生を共に過ごすパートナー。

 

わたしなんかはどちらかと言えば、

自分で仕事がしたいから、経済力とかそんなのどうでもよくて

読んだ本とか、観た映画とか、感動したものとか、そう言うことを

一生話したりできる人なら

橋の下で絵でも描いてようが、どっかに障害持っていようが

そんなの関係ないと思うけれど、

(実際そんな局面に立ったことがないから言えるのかもしれないけど)

 

世間一般にみれば、やっぱり安定とかそういうものが幸せの第一条件で

(否定はしていないし、これを求めるのは全然悪いことじゃない)

 

あるいは、家庭の問題とか、その人以外の事情とか条件とかで

別れてしまうことだって、全然悪いことじゃない。

 

先日ある人から、

「人生のパートナーと言える人と結婚できたなら、その時点で

人生なんて半分は成功したようなものだ」

と言われて、加えて、「結婚はした方がいい」とのことだけど、

すごく素敵な言葉だなあ、と思いました。

 

相手が何か、大きなハンデを背負っていて、

(またはこれから先、背負う可能性があって)

結婚すると、それが大きく自分に圧し掛かってきて

まわりから見たら、それが原因で別れても仕方ないよって

全員が言うようなことであっても、

そこで別れを選んでしまったら、一生後悔するような

そんな人に出逢えたのなら、どんなことがあっても、

やっぱり人生は半分成功したようなもんだって言えるかもしれない。

むしろ奇跡に近い。

 

ただ、やっぱり人間て言うのはわがままだから、

もしその逆で、自分にその要因があったとしたら、

やっぱり別れてくださいって言ってしまうんだろうな。

 

映画にも出てくる、

「愛しているから、別れよう。愛しているから、別れない」

 

ただのきれいごと映画のように聞こえちゃうけど、

すごく深い。

 

結婚後なら、どんなことでも乗り越えちゃうんだろうけど、

恋人と言う関係には、何にも縛るものないもんね。

冷たく言えば、他人。

その他人を一生背負おうという覚悟はすごい。

 

 

学生時代、この映画を観た後、ゼミの友人に勧めて、その友人から

「障害ってこんなに甘くないと思う」と言われたけど

この映画は、障害の苦悩じゃなく、

障害を持つかもしれないと言う、苦しい心理状態を描いています。

 

その後にくる障害はまた別の問題、

どちらもきっと、甘くない。