休暇

休暇 (2008年 門井肇監督)

 

 

高崎映画祭で観ました。

社会について結構深く考えさせられる1本。

 

 

ストーリー:

主人公 平井は、刑務所の職員。ベテランほどの年齢だが独身。

彼の務める刑務所には、金田(西島秀俊)と言う囚人がいる。

金田は、いつもきれいな絵を描いていて、穏やかな人物。

 

そんな折、平井に持ち上がった結婚の話。

新婚旅行に行きたいけれど、有給を全て使い果たしている。

そんな時、金田の死刑執行が決まる。

 

死刑執行に関わった職員には特別休暇が与えられる。

(仕事であっても、間接的に人の命を奪うからみんな嫌なんですよ。

 出産とか、結婚とかおめでたいことが近く予定してある人は

 普通、この職務を免除される)

 

通常は上からの任命で決まる死刑執行職員の「支え役」に

(日本では死刑は絞首刑なのだけれど、

 首にロープをかけた後、床が抜ける仕組みで、

 その際に、足が暴れたりしないように、足を抑える人がいて、

 支え役と言います。

 自分の手の中で人が苦しみながら死んでいくから、みんな嫌がる)

休みが欲しい平井は、自ら志願したと言うお話です。

 

とても重い話でした。

「死刑」って言葉自体は多分みんな知っていて、

ニュースを騒がす凶悪犯とか、

「死刑になって当然だ!」って市民の世論はあるかも知れない。

 

ただ、その人たちの望み通り、犯人に死刑が決まっても、

実際のところ、収容所の中で刑が執行されるまでの間、

6年以上も生きていたりする。

 

その間、収容所で普通に暮らしている。

期間については、どうだろう。

 

長いから、たくさん生きていられるからいい、ってわけでもなく、

死刑囚たちは、自分がいつ死刑になるのかを、当日の朝まで知らない。

 

6年以上と言うのは、「6年以上のこともある」ってことで、

半年の人もいれば、もっと長い人もいる。

その間、毎晩毎晩、寝る前に

「明日かもしれない」と覚悟をして眠る。

 

執行の日は、当日の朝いきなり職員に告げられるらしいけれど、

驚きと恐怖で、立てなくなってしまったり、

暴れだしたりする人もいるんだそう。

 

この映画の主人公は、西島秀俊が演じているけど、

すごく穏やかで、きれいな絵なんか描いているし

彼がどんな罪でそこに至ったかは映画には出てこないけど

 

普通、収容所の職員たちは、世間一般の人たちが、

「あんなひどい奴が死刑になって良かった!」

と言う、囚人たちの、死刑判決後の何年かを見守るわけで。

 

中には、何年かかけて、罪を本当に悔い改め、

読まれないであろう遺族への手紙を

毎日毎日書く人もいるだろうし。

 

じゃあ、更生可能性がある囚人がかわいそうか?と言われると、

世間一般の人が忘れた事件の裏では、

事件を忘れられず、毎日毎日犯人を恨んでも恨み切れず、

取り返しもつかず

1日も早く死んでくださいと、苦しみながら願う被害者遺族がいたり。

 

難しい。

わたしも、学生の時は結構真剣に法律勉強してた時とかあって、

(法曹が放送に変換ミスされたねってよく言われる)

浅はかな頭でというか感情的に、死刑制度なんかについては、

「賛成」とか言ってしまっていたわけ。

 

それほど重い罪だとして、遺族がいて、社会的影響が強くて、

やっぱり極刑にならないと、

秩序ある国家としてあまりにも不条理な世の中なのではないかと。

 

あと、良く言われる、1人殺しただけでは死刑にならないよって話。

2人目から死刑って言うのは、

どうしようもなく怨恨からの殺人とかで1人殺した人が、

どうせ死刑だからと自暴自棄になって大量殺人などしないよう

そこでやめろ、と言う抑止効果もあるとか。

 

いずれにせよ、死刑ってすごく難しくて、賛成は賛成でも、

それを決めるのって法的機関だからね。

 

殺された人の遺族になんの意思決定権はなくて、

(たとえ、理由なく子供を4人全て殺されても、

その親に犯人を制裁する権利はなし)

決めるのは法的機関。

人の生死を力で行使できるんだからすごいことだ。

 

さらに、裁判員制度なんてものは一般の人が入ってるんだから

もっとすごいことだ。

100歩譲って、

すごく難しい試験を課して、人権教育も徹底した人のみに、

法的権限を与えられているとして、

じゃあ裁判員制度って、全く関係のないその辺の人が感情含めて、

人の一生を決めてよいのかな、と。

 

犯人を死刑にしてくださいという、署名活動で、

かなり署名が集まったというニュースを見たことがあるけれど、

これってすごい。

 

要するに、それだけの数の人たちがよってたかって、

こいつらは死ぬべきだ、殺してください

って言っているわけで。

もちろん、ただ死んでほしいのではなく、それだけの理由があって憎いから。

怖いよね。

生きてるのに、死ぬべきだって、何千何万からの人に思われている。

 

1つ思うのは、被害者を作りだすことだけは辞めてほしいなと言うこと。

それが残酷であればある程、(死んでくださいと言う感情)の数は

増えて、強いんだよね。

 

何が正しいのかは難しい。

 

うーん、話が脱線して、映画で描きたかったものとはズレてしまった。

 

映画の中に、死刑囚の妹が面会に来るシーンがあって、

面談の間、お互い何にも話さないんだよね。ひとことも。

行間の奥が深い。

妹は、それでもお兄ちゃんをかばいたかったのか、

もしくは、そんなことをしてくれたおかげで職を失い、

縁談がボツになり、

社会から指さされた生活をしているかもしれない。

家族でも、日本の場合は犯罪者をかばうと非難されるから。

 

そして、死刑囚を演じた西島秀俊の生命力の弱さと、

存在感の薄さがすごい。

トヨエツとか一言もしゃべらない役演じても、すごい存在感なのに、

西島秀俊とか、存在感すら消えちゃうから。

 

ちょっと重いのですが、

自分が住む国について、たまにちょっと考えてみるのもよいのでは?

死刑ってこんなもの。と言う映画です。

 

死刑をテーマにしたものだと、前にテレビ朝日のドラマで、

「森のアサガオ」ってのをやっていたんだけれど、

その原作なんかも良くできていると思う。